コラムVol.18 使わなきゃもったいない!?ふるさと納税・基本の「キ」

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奥野 美代子 (おくの みよこ)
CFP®(ファイナンシャルプランナー)、中小企業診断士、MBA。
デンマークのオーディオブランドで富裕層向けのマーケティング&PRに26年間携わった後、中小企業診断士/FPの資格を取得し、経営コンサルタントとして独立。
日本FP協会 平成24年「暮らしとお金の相談室」相談員、広報センター電話相談員などを歴任。30代から始めたライフプランに基づくマネープラン、2回のマンション購入と不動産賃貸、リストラ後の独立等の自らの経験に基づき、相談者の立場に立って資産運用、保険、住宅ローンなどのアドバイスを行う。他に、中小企業の経営コンサルティング、確定拠出年金や企業主催のセカンドライフセミナーなどの講師も務める。

ふるさと納税、利用者は案外少ない!

毎年、年末が近づくと話題に上る「ふるさと納税」、マネー雑誌やテレビでも特集が組まれ、返礼品の人気と節税効果を背景に、年々利用者が増えています。総務省の調査によると、平成21年度から始まった「ふるさと納税」制度は直近2年度でグッと利用者が増え、平成28年に利用した人(下図の平成29年度適用者数)は225万人と、平成27年度に比べると5倍以上に急増しています。

ふるさと納税 利用推移
ふるさと納税 利用推移
  • (注) 各年度の数値は、前年中(例えば、平成29年度については、平成28年1月1日〜12月31日の間)のふるさと納税に係る各年度における控除適用状況。

出典:ふるさと納税に関する現況調査結果(平成29年6月1日時点の状況、自治税務局市町村税課)

とは言っても、「返礼品が魅力!」「税金がお得!」などと取り上げられる割には、実際に利用している人はまだ少数派で、「制度がよくわからない」「手続きが面倒そう」などといった理由で利用していない人の方が圧倒的に多いようです。社会貢献と節税ができて、返礼品の楽しみもあるふるさと納税、賢くお金を生かしたいなら使わない手はないような気もします。

ふるさと納税のしくみ

「納税」というと税金を納めるイメージですが、実際に行うのは、都道府県や市町村(自治体)への「寄附」です。自分の税金の一部を使い、「故郷を元気にする」「賛同する自治体を応援する」制度として創設されました。選んだ自治体に寄附(ふるさと納税)すると、2,000円を超える寄附金額は、所得税と住民税から控除して(差し引いて)もらえるので、節税になります(一定の上限はあります)。

ふるさと納税のしくみ

出典:総務省ふるさと納税ポータルサイト ふるさと納税の概要より

例えば、平成29年1月から12月の給与収入(税込年収)が400万円の会社員(独身)の場合、42,000円が控除の上限になります。42,000円まで寄附すると、2,000円を除く全額を所得税・住民税から控除することができます(所得税は平成29年度分から、住民税は平成30年度分から)。控除できる上限額は、収入や家族構成によって異なります。総務省の「ふるさと納税ポータルサイト」で簡単にシミュレーションできますので、利用する前に確認しましょう。

さらに多くの人にとって魅力的なのが、寄附への感謝の気持ちとして自治体が用意する様々なお礼の品々、「返礼品」です。普段はなかなか手を出しにくい特選和牛、完熟フルーツ、港直送の鮮魚、地ビールなどのグルメや伝統工芸品、温泉利用券、家電品などが用意されています。寄附をしてもらった自治体は、寄附金額の30%程度に相当する商品を主に地元の生産者等から購入し、お礼として返送します。全国的な流通網では販売されていない地域限定の商品なども数量限定で提供できるので、地域産業を活性化する効果があるといわれています。返送品を送る経費も除いた残りが、自治体の活動に使われることになります。

返礼品のイメージ

返礼品のイメージ。寄附金額により異なる。

利用できる人

ふるさと納税は、実質的には2,000円の自己負担で、特定の地域社会に貢献した上で魅力的な特産品などをもらえる「おいしい節税制度」といえるでしょうが、誰にでも同じようにお得というわけではありません。たくさん税金を払っている人の場合、控除額の上限金額も大きくなります。
また扶養家族のいない独身の方や共働きの方の場合も控除額上限が大きくなるので、上手に使うといいでしょう。例えば、年収400万円(独身または共働き)の場合の上限額は42,000円ですが、年収800万円(独身または共働き)の場合の上限額は129,000円になります。129,000円を寄附することで、127,000円の税金が控除され、さらに魅力的な返礼品を受け取ることができるわけです。上手に利用したいですね。

寄附先と返礼品の選び方

寄附する金額の目安が決まったら、次は寄附先と返礼品を選びましょう。平成29年度のふるさと納税利用自治体数は、約1,800に上ります。寄附する自治体を選ぶには、専門のウェブサイトが便利です。「ふるさと納税」で検索するといいでしょう。

寄附する自治体を選ぶときに、「地域」「寄附金の使い道」「ランキング」「おすすめ」など様々な条件で絞込みを行うこともできます。最近は、返礼品ではなく「災害支援」や「子供の難病支援」など、純粋に寄附目的で利用する人も増えてきているようです。

専門のウェブサイトを利用するメリットは、(1)寄附先の選択、(2)寄附の申し込み、(3)寄附金の支払いなどが簡単にできることです。寄附金の支払い方法としては、「クレジット決済」「コンビニ支払い」などを選ぶこともできます。

税金の控除手続き

自治体に寄附後、送付される「寄附金受領証明書」を使い、確定申告を行うと税金が控除されます。さらに、確定申告の不要な給与所得者のために、1年間の寄附先が5自治体までなら確定申告を行わなくてもふるさと納税の寄附金控除を受けられる「ワンストップ特例制度」(※)が開始され、さらに便利に使いやすくなっています(平成27年4月1日以降に行われたふるさと納税が対象)。

ふるさと納税制度は、何件申し込んでも1年間の寄附総額に対して自己負担は2,000円だけで、残額についての税額控除を受けることができます(一定の上限はあります)。年末に慌てて申し込もうとすると年内の受付に間に合わなくなる場合もあるようなので、余裕をもって行った方がいいでしょう。

  • ワンストップ特例制度は制度適用の条件があります。ふるさと納税の有無にかかわらず確定申告を行う方(年収2,000万円を超える所得者や、医療費控除等の適用を受ける方)は、確定申告で寄附金控除を申請してください。

ご留意事項

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