コラムVol.17 ジュニアNISA、仕組みを理解して上手に活用しよう

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目黒 政明 (めぐろ まさあき)
1983年、慶応義塾大学法学部卒業後、大和証券に入社。1987年、独立系FP会社に転職し、FPとしての活動を始める。1992年、MMIライフ&マネープランニングを設立。2002年、個人を対象に幅広くFPサービスを提供する生活設計塾クルーの取締役に就任。2010年、生活設計塾クルー代表取締役。資産運用アドバイスを専門とし、運用相談、新聞・雑誌等での原稿執筆、マネーセミナーの講師などを務めている。

子ども・孫の資産形成のための制度

ジュニアNISAは、子どもや孫の進学や就職といった将来のための資産形成を主な目的として2016年にスタートしました。口座を開設できるのは0歳から19歳(口座を開設する年の1月1日現在)までの未成年者で、20歳以上の成人を対象としたNISAと同じように、上場株式や株式投資信託などに非課税で投資できます。年間の投資上限額は80万円で、5年間分の投資を非課税にできるので、最大400万円(=80万円×5年間分)まで非課税で投資できます。

ジュニアNISAの仕組みと注意点

0歳児などが自分で投資することはできないので、ジュニアNISAでは、原則として親権者等が子どもの名義で代理して投資を行います。
なお、ジュニアNISAの運用資金は、親や祖父母等からの贈与によるものが中心になると思われますが、ジュニアNISAのために別途、贈与税の非課税枠が設けられているわけではありません。そのため、通常の暦年贈与(年間、1人110万円までは非課税)で贈与することになります。

20歳になるまで(1月1日において20歳である年の前年12月31日まで)非課税で運用ができ、NISAで新規投資が可能な2023年までに20歳になると、同じ金融機関で自動的に成人用のNISA口座が開設されます。
なお、成人用のNISAは毎年、金融機関の変更が可能ですが、ジュニアNISAの場合、同時には1人につき1口座しか開設できません。金融機関を変更したい場合は、すでに開設しているジュニアNISA口座をいったん廃止してから、ほかの金融機関で再度開設する必要があります。この場合、ジュニアNISA口座の廃止時に、払出し期限が解除される前(詳細は後述)であれば、過去の非課税扱いとなっていた配当金や分配金、譲渡益に対して遡及課税されます(災害等やむを得ない事由により口座廃止する場合を除く)。このため、金融機関の選択は慎重に検討すべきです。

ジュニアNISAの最大の注意点は、3月31日において18歳である年の前年12月31日までの間(一般的には高校3年生の12月末まで)は、原則として払出しができないという点です。この間、ジュニアNISAで投資した上場株式や株式投資信託などから受け取った配当金や分配金、あるいは売却した場合の譲渡代金などを現金で受け取ることはできず、課税未成年者口座というもので管理を続けなければなりません。基本的には18歳になるまでお金を引き出すことができず、大学の入学資金などを見据えた長期運用を前提とした制度になっています。特に、子どもの年齢が低い場合は、必然的に長期運用となりますので、注意が必要です。
なお、18歳前に払出す場合は、ジュニアNISA口座は廃止され、過去の非課税扱いとなっていた配当金や分配金、譲渡益に対して遡及課税されます。ただし、災害等やむを得ない場合などは非課税扱いでの払出しが可能です。

どのようなニーズに適しているか

子ども・孫自身が、上場株式や株式投資信託などで運用したいと希望することは、あまり考えられません。親あるいは祖父母等が子ども・孫のために制度を活用するのが基本となりますので、どのように活用するのかを事前に考えておく必要があります。代表的なニーズは次の通りです。

① 高い利回りが期待できる運用で、子ども・孫の大学や専門学校等の入学資金などの効率的な準備
親のNISA口座等でも教育資金の準備は可能ですが、18歳まで払出しができず、子ども名義となっているジュニアNISAのほうが、より子どもの教育資金のため、という意識を強く持つことができます。

② 子ども・孫が成人した時に備えて生活設計・資産運用のベースとなる資金の確保
ジュニアNISAの運用資産は、あくまでも子ども・孫の財産となります。教育資金を別途確保できる場合は、ジュニアNISAで運用した資産を持って子ども・孫は社会人になることができます。社会に出る際にある程度まとまった資産があれば、生活にゆとりが生まれ、安定した家計運営を行うことが可能となります。

③ 祖父母より、相続税対策の一環として、一世代飛ばして孫へ贈与

④ 祖父母より孫への資金援助(ただし、今の生活ではなく孫の将来のために、という担保をつけて)

運用の考え方の例

子ども・孫が幼い場合は、長期運用が基本となるので、長期運用で高いリターンが期待できる株式中心の運用が可能です。具体的には、日本・海外の株式で運用される株式型ファンド、国内外の株式への投資比率が高いバランス型ファンドなどを選択肢にできます。
子ども・孫が中学生・高校生などで、あまり運用期間を長く持てない場合は、リスクを抑えた運用を基本にすべきでしょう。具体的には、株式の比率を抑えたバランス型ファンドや、為替リスクをヘッジする外国債券型ファンド、あるいはリターン向上のために日本株ファンドや外国株ファンドなどを組み入れるとしても、こうした資産の比率を低めにした分散投資などが選択肢になります。

  • (注) 上記の運用例はあくまでも1つの例であり、これらへの投資を推奨しているわけではありません。
NISAとジュニアNISAの主な違い
NISAとジュニアNISAの主な違い
  • (注) 口座廃止時に、払出し制限が解除される年より前であれば、過去の非課税扱いとなっていた配当金や分配金、譲渡益に対して遡及課税されます(災害等やむを得ない事由での口座廃止の場合を除く)。

ご留意事項

  • ジュニアNISA口座内での損失は、ジュニアNISA口座以外の口座(特定口座や一般口座)で保有する有価証券の売買益や配当金等との損益通算はできず、その損失の繰越控除もできません。
  • ジュニアNISA口座で保有している有価証券を、一度売却するとその非課税投資枠の再利用はできません。また、年間80万円までの非課税投資枠のうち、未使用分を翌年以降に繰越すこともできません。

ご留意事項

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