コラムVol.13 NISA -ケース別・タイプ別の運用の考え方-

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目黒 政明 (めぐろ まさあき)
1983年、慶応義塾大学法学部卒業後、大和証券に入社。1987年、独立系FP会社に転職し、FPとしての活動を始める。1992年、MMIライフ&マネープランニングを設立。2002年、個人を対象に幅広くFPサービスを提供する生活設計塾クルーの取締役に就任。2010年、生活設計塾クルー代表取締役。資産運用アドバイスを専門とし、運用相談、新聞・雑誌等での原稿執筆、マネーセミナーの講師などを務めている。

資産運用の考え方の基本

資産運用を考える場合、まず検討すべきなのは、預貯金等で運用する部分と、株式や投資信託などでリスクを取って運用する部分の配分です。
今後のライフイベントなどを考慮して、無理のない投資金額を設定することが大事です。

投資金額を決めたら、次に資産配分を考えます。国内債券、国内株式、外国債券、外国株式などに、それぞれどれだけ投資するかを決めます。商品選択より、資産配分のほうが、運用資産全体のリスクとリターンに大きな影響を与えるので、よく検討する必要があります。このとき、高いリターンを目指す場合は株式の割合を高めにする、リスクを低くしたい場合は債券の割合を高めにするのが基本です。資産配分を決めた後で、具体的に投資する商品を決定します。

このように、「投資金額→資産配分→商品選択」と考えていった方が、運用で大きな失敗をする可能性が低くなります。商品選びから入ると、往々にしてバランスの悪い、特定の資産に偏った運用になりがちなので注意が必要です。

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実際に投資を実行していく場合、まとまった資金の運用でも、特定のタイミングで一度に投資するのはリスクが大きいので、時間分散を意識して、何回かに分けて投資していったほうが安心です。
このとき、運用益が非課税になるNISAを最大限活用すべきです。NISAでは年間120万円、5年間で最大600万円まで投資できます。そこで、投資に回せる金額が総額で600万円以下の場合は、NISAの年間120万円の非課税枠を意識して、数年かけて投資していきます。

総額で600万円を超える金額を投資する場合、あるいは1年、2年程度でまとまった資金を投資して、ポートフォリオ(異なる資産の組み合わせ)を作り上げたい場合は、課税口座での投資も必要となります。
このとき、運用益が大きいほど、運用益が非課税になるメリットは大きくなるので、高いリターンが期待できる商品からNISAで投資していくという考え方もあります。しかし、高いリターンが期待できるものは、逆に大きく値下がりすることもあり得ます。NISAにおける損失はなかったものと見なされるので、仮にNISAでの運用が損失に終わった場合は、その損失を課税口座の利益と通算することはできません。
また、運用益が得られなければ、運用益非課税のメリットを活かせないので、NISAでは損失を被る可能性が低い商品に投資していくという考え方もあります。

以下、ケース別にNISAでの運用例を紹介していきます。

  • (注) 以下の運用例はあくまでも1つの例であり、これらへの投資を推奨しているわけではありません。

高いリターンを期待する場合の運用例

投資信託で定期的に高めの分配金を受け取りたい場合は、新興国債券やハイイールド債で運用する外国債券型ファンド、世界の高配当株で運用する外国株式型ファンド、国内・海外のREIT(不動産投資信託)で運用するREITファンド、あるいはこれらの組み入れ比率が高いバランス型ファンドなどが選択肢になります。
特に分配金を必要としない場合は、中長期の保有で魅力が感じられる会社の株式(個別株)、日本・海外の株式で運用される株式型ファンド、国内外の株式への投資比率が高いバランス型ファンドなどが選択肢になります。投資信託は無分配型あるいは少額分配型を選びます。
なお、これらの商品はいずれも値動きが大きいので、高いリターンが期待できる一方で、運用途中で大きく値下がりすることもあり得ます。この点をよく理解してから投資する必要があります。

  • ハイイールド債: 信用格付が低く、利回りが高い債券。

安定的な運用を目指す場合の運用例

債券の比率を高めにした安定運用型のバランス型ファンド、為替リスクをヘッジした外国債券型ファンド、あるいはリターン向上のために日本株ファンドや外国株ファンドを組み入れるとしてもこうした資産の比率を低めにした分散投資などが基本です。
高めの分配金を支払う投資信託はリスクの高いものが多いので、安定的な分配金収入を期待する場合は、分配金の水準よりも、リスクを抑えた運用を行っているかが投資信託選びのポイントになります。

積立投資で資産形成を図りたい場合の運用例

株式の個別銘柄への投資は当たり外れが大きいので、株式投資信託での積立が基本になります。中長期の積立で資産形成を図るのが目的なので、分配金の支払いは不要です。
高いリターンを希望する場合は、株式型ファンドを中心として積み立てていきます。ただし株式100%で運用すると、収益の振れが大きくなり、資産評価額の変動も激しくなります。値動きがあまりにも大きいと、相場の下落局面で大きなストレスを感じ、株式型ファンドでの積立運用をあきらめることにもなりかねません。運用を長期にわたって継続するためには、運用過程での資産評価額の変動を小さくすることも大事なので、リスクを低減させたい場合は、株式と値動きの異なる債券型ファンドへの分散投資も心がけたほうが良いでしょう。

投資信託のニーズ別投資対象の例
公投資信託のニーズ別投資対象の例
  • (注) 上記の運用例はあくまでも1つの例であり、これらへの投資を推奨しているわけではありません。

ご留意事項

  • 本稿に掲載の情報は、ライフプランや資産形成等に関する情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の取得・勧誘を目的としたものではありません。
  • 本稿に掲載の情報は、すべて執筆者の個人的見解であり、三菱UFJ信託銀行の見解を示すものではありません。
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