コラムVol.10 投資信託選びは、自分のリスク許容度確認からはじめよう

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古徳 佳枝 (ことく よしえ)
東京大学卒業後、日興證券に入社。投資信託・投資教育業務等に携わった後、2002年退社し、東京大学大学院にて「大学におけるパーソナルファイナンス教育」に関する研究を行う。その後、野村アセットマネジメントに入社、投資信託のセミナー講師等を担当。2011年同社退職後は、金融経済教育インストラクターとして、大学生・高校生向けの金融経済教育の講師や確定拠出年金導入企業の社員向け説明会の講師等を中心に活動している。

日本にはどのくらいの投資信託があるの?

日本国内の投資信託のうち、個人がいつでも購入できる「公募追加型株式投資信託」は、2016年11月末現在、約79兆円、ファンド数は5,561本あります。

公募追加型株式投資信託の純資産残高とファンド数の推移
(1989年1月〜2016年11月、月次)
公募追加型株式投資信託の純資産残高とファンド数の推移

(出所)一般社団法人投資信託協会「統計データ」より

自分に合った投資信託を選ぶには、5,000本以上ある投資信託の中から選ばねばならないわけです。やみくもに全ファンドの名前を眺めてみても、どれが自分に合った投資信託かを決めるのは容易ではありません。

自分はどのような投資をしたいのか?どの程度のリスクに耐えられるのか?

まずは自分の投資目的を考えてみましょう。投資信託にはさまざまなタイプがありますので、その中から絞り込むためには自分の投資への考え方がまず重要です。

「投資の目的?お金を増やすことに決まってるじゃない」

もちろん、投資するからにはお金を増やしたいと誰もが考えるでしょう。とはいっても、投資信託を買った瞬間から、一度も値下がりすることなく基準価額が上がり続ける、という状況になるかは運次第。「絶対に値上がりする」という保証はありません。投資では、値下がりしたときもその変動に耐えることが求められます。「途中大きく値下がりしても最終的に大きな収益を目指したい」のか、「買った後、あまり値下がりしてほしくない、期待できる収益も小さくていい」のか、その中間なのか。自分はどのタイプなのか、考えてみましょう。

このように、価格変動にどの程度耐えられるか、という度合いを「リスク許容度」といいます。自分のリスク許容度を数値で表すのは簡単ではありません。例えば自分が100万円を投資したとして、10万円程度の損失は許容できるのか、30万円でも何とか耐えられるのか、3万円の損が限界なのか・・・など、投資金額と合わせて実額でイメージしてみてはいかがでしょうか?

自分のリスク許容度から投資対象・投資金額を考えよう!

①投資対象ごとに異なる価格変動リスク
投資信託における投資対象は、日本国内および外国の「株式」「債券」「REIT(不動産投信)」の6資産が基本です。
このうち、リスク・リターンが高いのは「株式」と「REIT」で、それぞれ日本よりも外国の資産の方が、為替変動リスクの分、さらにリスクが高くなります。反対に、リスク・リターンが最も低いのは「国内債券」です。
「リスクが高くても高いリターンを目指したい」人は、株式やREITなどを組み入れた投資信託を、「リスクを低めにおさえたい」人は債券中心の投資信託を、となります。また複数の資産を一定の比率で組み合わせた「複合資産型(バランス型)」もあります。自分に合った組み合わせを考えることが投資信託選びの第一歩です。

②投資金額を少なくすれば、損失額も抑えられる
あたりまえのことですが、投資金額を少なくすれば、多少リスクの高い投資対象を選んでも、金額ベースでの損益は小さくなります。大きくもうけたい、と欲を出すと、まとまった金額を投資したくなりますが、投資金額は自分のリスク許容度を勘案して慎重に決めたいもの。例えば、リスクの高い投資対象には少なめの金額で、リスクの低い投資対象への投資金額を多めに配分する、というように、全体の投資金額とリスク許容度に合わせて資産配分(ポートフォリオ)を考えてみましょう。

このように自分の合った資産配分を構築する際、投資信託であれば、リスクの低いものから高いものまで、さまざまなリスクの商品が揃っています。またそれぞれ1万円から投資できるので、自分の決めた金額分、投資することが可能です。設定されてからある程度の期間運用されている投資信託であれば、過去の基準価額の推移をみることで、何%くらい増えたり減ったりしたかの確認もできます。自分のリスク許容度に応じた資産配分を考えてみましょう。

資産作りの王道は「投資信託」の「積立投資」!

最後に考えたいのが、投資タイミングです。「最初に買ってずっと持ち続ける長期保有タイプ」「買った後利益が出たら売買する短期売買タイプ」を考えると、前者はインカムゲイン(利子・配当)の確保を、後者はキャピタルゲイン(売買益)獲得を目指すスタンスといえます。ただ、いずれにおいても難しいのが投資タイミングです。いいタイミングで購入できれば良いですが、高値で買ってしまうと、数十年塩漬け※1にするか損切り※2するかになってしまいます。「いつ投資を始めればいいのか」は難しい問題です。

このような投資タイミングにその後の損益が依存してしまう方法を避けるには、「時間分散」での投資が有効です。そして時間分散を手軽に実現する優れた方法が「積立投資」です。積立投資については、当コラムのVol.1「資産作りの王道は積立投資!」で詳しく説明されています。

積立投資を行う際、投資信託は「少額から」「分散投資できる」という点で、利便性の高い商品といえます。自分に合った「投資信託」を「積立投資」で。これこそリスクを抑えつつ資産を育てる王道といえるでしょう。        

  • ※1 株価が値下がりし、損失を抱えたまま長期間保有しつづけている状態のこと。
  • ※2 損が出ることを承知で株を売り、損失を確定すること。

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